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【5月】

★8日、4ヶ月前にビートルズが受けて、そして落ちた「デッカ・オーディション」のテープを持ったブライアン・エプスタインは、ロンドンの有名レコード・ショップ「HMVショップ」を訪れた。レコード店つながりで顔見知りだったボブ・ボーストにテープを聞かせるためである。ボブ・ボースト、、、「彼は2日間ロンドンを歩き回って疲れ果てたと言っていた。誰もテープを聞く気がなかったらしい。そこで私は、当時うちの店の2階にあったレコーディングスタジオに彼を連れて行った。そこでディスク・カッターのジム・フォイに引き合わせたんだ。」

★ジム・フォイ、、、「ブライアンは手持ちのテープからディスクを切ってほしいといった。それで、その作業中に「良いサウンドだ」と言ったら、彼は自慢げに、そのうちの何曲かはバンドが自分で書いたんだと答えました。当時としては珍しいことだった。出版契約はしているのか?と聞いたら、まだだというので店の最上階にあったEMI系の音楽出版社のことを教えました。責任者のシド・コールマンがテープを聴いて興味を示しました。」

★しかし、音楽出版契約ではなくてレコーディング契約を求めていたブライアンの要望を知ったシド・コールマンはEMI傘下の「パーロフォン」という小さなレコード・レーベルでA&R部門を取り仕切っていた友人のジョージ・マーティンに電話をかけた。ブライアンはすぐにEMIの本社に出向き、あいにく不在であったジョージ・マーティンだが、秘書に頼み翌日に会う約束を取り付けた。

【後のジョージ・マーティンの回顧】「彼らはかなりヒドかったですね。最初、私は彼らの音楽に感動したわけではありません。彼らも最初は文字通りへたくそでした。私は彼らと契約した後キャヴァーンで彼らを見ました。彼らは見事にオーディエンスの心をつかんでいました。私が彼らと契約した理由は彼らのカリスマ性なのです。もし、あなたが彼らと一緒にいると仮定するならば、彼らの存在感によって豊かな気分になれるでしょう。そして彼らが去ってしまうと、あなたは小さくなったように感じてしまう。こうした素晴らしい資質を彼らは持っていた。これをグループとしてできる人たちはそうたくさんいなかったのです。

★9日、ブライアン・エプスタインはEMIとのレコーディング契約成立の祝電を、ハンブルグ滞在中のメンバーに送った。インドラのオーナーであるブルーノ・コシュミダーはメンバーが祝電を受け取った時に居合わせており、メンバー全員が喜びと感動のあまり、軽いショック状態であったと回想している。

【10月8日更新】★18日、ジョージ・マーティンは、ビートルズとの契約が6月6日を以って発効する旨が記載された「アーティスト契約申請書」をEMI総務部に提出。

【6月】

【10月8日更新】★4日、ビートルズのメンバーがEMIとデモ・レコーディング契約にサインする。

★6日、18:00~20:00までアビーロード第2スタジオ(第3スタジオの説あり)で、「Love Me Do」「P.S.I Love You」「Ask Me Why」「Besame Mucho」のレコーディングが行われた。レコード製作のためというよりも、バンドの力量を見るための「アーティスト・テスト」だったという説が有力である。

【10月8日更新】★このセッションでアシスタント・ディレクターを務めたロン・リチャーズがピートのドラムはダメだとジョージ・マーティンに進言。ジョージ・マーティンはブライアンと協議して「レコーディングはスタジオ・ミュージシャン、ステージはピートで。」という方針で一致する。

★エンジニアのノーマン・スミスの回顧、、、「彼らの機材ときたらひどいものでね、アンプはペイントの剥げた木製キャビネット。ノイズがすごくてアースとかわけのわからないものが、いろいろとたくさんくっついていた。楽器の音よりノイズの音のほうが大きいくらいだったよ。特にポールのベースアンプが最悪で、それをなんとかしなくちゃとてもセッションできる状態じゃなかった。」

★アビーロード・スタジオ警備員ジョン・スキナーの回顧、、、「ビートルズは古めかしい白のバンで駐車場に乗りつけたんです。みんな痩せっぽちでヒョロヒョロしていて栄養失調みたいに見えましたよ。ロード・マネージャーのニール・アスピノールがセッションをしに来たビートルズだと名乗りました。なんて変な名前だろうと思ったものです。」

★11日、マンチェスターのプレイハウス・シアターでラジオ番組「ティーンエイジャーズ・ターン/ヒア・ウィ・ゴー」の収録が行なわれ、「Ask Me Why」「Besame Mucho」「Picyure Of You」を演奏。「Ask Me Why」がレノン・マッカートニーの曲として、初めて公共の電波にのった。

★14日、ブライアン・エプスタインがリンゴにビートルズのドラマーにならないか?と持ちかける。

★19日、キャヴァーンで演奏中にピートがクビになったことに抗議する観客が騒ぎ、ジョージが顔面を殴られ左目のまわりに大きな青アザが出来た。

【9月】

★6日、ジョンの特集記事「On safairy with whide hunter」とポールが初期ビートルズについて語ったインタビュー記事「A little bare」が掲載される。この記事ではポール苗字の綴りが「McArtney」と間違って記載された。

★20日、ドイツ巡業を語ったポールのインタビュー記事が掲載。

【12月】

★【ホルスト・ファッシャーのコメント(スタークラブ、マネージャー)】、、、「新しいバンドが街に来ているという噂が広まっていた。見ると、汚いトラックに5人の若者が乗っていた。彼らはリヴァプールからハンブルグに到着したばかりだった。その後、クラブで彼らを見た。スチュアートはオーディエンスに背を向けていた。無礼な奴だと思ったが、彼はどのキーで演奏しているのかを確認するために振り返ったりしていた。彼らはリハーサルをしなかった。ロックンロールよりもスキッフルに近かったね。ビートルズのサウンドはとてもシンプルだった。25分滞在した後、男の子は全員私と一緒に店を出たが、女の子たちは最後まで残ってステージを見ていたようだった。店から出てきた女の子に聞いてみた。「彼らのステージは良かったかい?」。その女の子は「うん、とにかく彼らはとってもカッコいいの。」と言った。私はその夜、すべてが変わったことを実感した。」

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