戻る

【レコーディング日】

【発売日】

【チャート状況】

★英国7週連続1位(メロディ・メーカー誌では9週連続1位)。1987年にCD化された際には新譜ではないにもかかわらず最高9位を記録した。

【収録曲】

(1) Taxman タックスマン

(2) Eleanor Rigby  エリナー・リグビー

(3) I'm Only Sleeping アイム・オンリー・スリーピング

(4) Love You To ラヴ・ユー・トゥ

(5) Here, There And Everywhere ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア

(6) Yellow Submarine イエロー・サブマリン

(7) She Said She Said シー・セッド・シー・セッド

(8) Good Day Sunshine グッド・デイ・サンシャイン

(9) And Your Bird Can Sing アンド・ユア・バード・キャン・シング

(10) For No One フォー・ノー・ワン

(11) Doctor Robert ドクター・ロバート

(12) I Want To Tell You アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー

(13) Got To Get You Into My Life ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ

(14) Tomorrow Never Knows トゥモロー・ネヴァー・ノウズ

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア】ジェフ・エメリック

【レコーディング】

★今まで使用していたEMI第2スタジオに加え、第3スタジオも使用し拠点とされた。

★輪郭のはっきりしたタイトなバス・ドラムのサウンドを得るために、外側のヘッドを外しセーターを詰めた。このセーターはリンゴがファンからプレゼントされたもの、あるいはリンゴの衣装だったという2つの説がある。

★ジョンの要請でEMIスタジオのテクニカル・エンジニアのケン・タウンゼントが開発した「ADT(アーティフィシャル・ダブル・トラッキング)」が使用された。それ以前は同じメロディを2度歌って重ねる「ダブル・トラッキング」という手法を使い、ヴォーカルがバックのサウンドに埋もれてしまわないように工夫していた。ADTは1度の収録したヴォーカルをダビングして、最初のヴォーカルとずらして再生することでダブル・トラック効果を得る。ポールは昔のやり方のダブルトラックを好んだためにADTを使わないときもあった。

★デビューからチーフ・エンジニアとして、ビートルズ・サウンドをレコーディングしてきたノーマン・スミスが担当を外れて、代わりに若干19歳のアシスタント・エンジニアだったジェフ・エメリックがチーフに抜擢された。ノーマンはプロデューサーを目指しており、他のアーティストのプロデュースをしたいが、引き続きビートルズのエンジニアも担当したいとジョージ・マーティンに申し出た。しかし、掛け持ちを良しとしないジョージ・マーティンは首を縦に振らなかった。

【アルバム・タイトル】

★様々にあったタイトル案、、、「アフター・ジオグラフィ(ローリング・ストーンズのアルバム「アフター・マス」にかけた、リンゴのジョーク)」、「ビートルズ・オン・サファリ」、「アブラカダブラ」、「ペンデュラムズ」、「ファットマン&ボビー(デブとボビー)」、「フォー・サイズ・オブ・ジ・エターナル・トライアングル」、「マジック・サークル」、「フォー・サイズ・オブ・ザ・サークル」

★以前は、来日時に日本の警察官が腰に着けている拳銃を見て、という説が有力視されていたが、ポールの発言により違っていたことが判明した。

★ポール、、、「突然「レコードって、どう動く?」「回転(revolve)するぞ、そりゃ最高だ!」となったんだ。それでRevolverに決まったんだ。」

【ジャケット写真】

★デザインはクラウス・フォアマンが担当した。グラミー賞の「ベスト・アルバム・カバー、グラフィック・アーツ賞」を受賞した。

★クラウスが描いた線画にビートルズの写真をコラージュするというアイデアを思い付き、クラウスには1964,65年の全米ツアーのパンフレットに使われたロバート・フリーマン撮影の写真が提供された。

★クラウスはちゃっかり自分の写真もあまり目立たぬように潜り込ませている。場所はジョージの髪の毛の中でジョンの口のすぐ下。自分の名前と共にコラージュしてある。

★当初はそれまでのビートルズのアルバム・ジャケット写真を手がけたロバート・フリーマンが撮影しデザインをした、4人のコーラージュ写真のモノクロ・ジャケットを採用する予定であったが、4人が気に入らずに却下された。

〈裏ジャケット〉

★撮影場所 ロンドンEMI第1スタジオ

★撮影日 1966年5月19日か20日

★カメラマン ボブ・ウィタカー

★「Paperback Writer」「Rain」のプロモーション・フィルム撮影の合間に、ボブ・ウィタカーが撮影した。

【エピソード】

★日本では武道館公演から約3ヵ月後に発売された。来日公演の余韻もいくらか残るなか、音楽雑誌「ミュージック・ライフ」では相変わらずアイドルのノリでビートルズの記事が掲載される一方、ニュー・アルバム「リボルバー」の特集記事が掲載された。そのなかで「とても風変わりなアルバム」と紹介され、「Tomorrow Never Knows」にいたっては「ちょっとふざけた感がしないでもありません」とやや否定的な評。アイドルとしてのビートルズと前衛的な変貌を遂げた「リボルバー」との挟まれて、音楽マスコミはまったく付いていけなくなってしまった。

★実はアメリカでレコーディングするという話が、かなり具体的なところまで進んでいた。場所はメンフィスのスタックス・レコード。メンバー全員が希望しておりブッキングを行っていたがセキュリティの心配があってキャンセルになったという。実際にブライアン・エプスタインはスタックス・レコードを見学に来ており、メンバーが滞在する借家もある程度決まっていた。またジョージの証言によると、ビートルズの名前が出ただけで莫大なお金のかかるアイデアを持ちかける人が多すぎることも、キャンセルの理由だったとのこと。

★NME誌によると、アルバムのレコーディング中にEMIとのレコード契約が切れ、翌年の1月27日に契約更新をするまで「どこのレコード会社とも契約をしていない」状態であった。このこともアメリカでニューアルバムをレコーディングしたかった理由のひとつであると言われている。

【コメント】

★ジョン、、、「ひとつだけ確実なことがある。次のアルバムはまったく違うものになるってことさ。」

★ジョン、、、「俺たちを生で見られない人には申し訳ないと思う。どうせ音楽は聞こえないんだから、何の得にもならないだろって思う時もある。でも、それでも楽しんでくれたのかと考えると、すまないと思うよ。」

★ジョン、、、「よくデビュー・アルバムから順番にレコードをかけてみて、音楽的な成長を確かめた。面白かったよ。Revolverあたりまでくると、オレたちがいろいろなものを取り入れ、レコーディング技術を身につけ、テクニックが洗練されていくのがよく分かる。」

★ポール、、、「みんなポップソングだけに目を向けるんじゃなくて、いろんなアーティストとつきあうようになってきた。役者や画家とかね。異種交配みたいなことが起こり始めていたんだ。」

★ポール、、、「ツアー中、音楽の質が良くなかった。レコーディングに徹すれば、新しいことにみんな夢中になれるんじゃないかって、全員の考えが一致したんだ。」

★ポール、、、「このアルバムのレコーディングが始まった当初から、すべての楽器から、その楽器らしくない音を出そうということを徹底した。ピアノはピアノらしくなく、ギターもギターらしくない音を出そうってことさ。」

★ポール、、、「ボクには試したいことが山ほどあった。ボクらは興味深い響きをしているアメリカのレコードを山ほど聴いたから。それに比べEMIスタジオのエンジニアはもう何年も変わり映えのしないやり方をしていたね。」

★ポール、、、「ボクらはいつも「やってみよう!もしどうしようもない音だったらボツにするまでさ」って言っていた。「もっとうるさく、もっと長く、もっと違う風に」っていつも前に推し進めたものさ。」

★ジョージ、、、「ジョージ・マーティンもスタジオの人たちもスタジオのことはボクらに任せてくれるようになってきた。No.1ヒットを出すごとにボクらの権限は強くなっていったんだ。」

★ジョージ、、、「どう考えても、これだけライブをやればもうじゅうぶんだって気がした。先を考えてたわけじゃない。ただこの狂気の沙汰とおさらばしたかっただけさ。」

★ジョージ、、、「前のアルバムとつながっているRubber Soulパート2みたいなもんだ。」

★リンゴ、、、「RevolverはRubber Soulの続編さ。質的には同じだよ。ボクらは本当の自分をスタジオで見つけ始めていた。」

★リンゴ、、、「Rubber SoulやRevolverから、スタジオでもっと楽しむようになった。そんな雰囲気が確立されると、より実験的になれた。曲はさらに良くなっていったしね。そしてより興味深くなった。だから、このアルバムの方向性っていえばそういうことなんじゃないかな」

★リンゴ、、、「Taxmanは4トラックでレコーディングしたのか、8トラックなのか、どっちだって?そんなの知らないよ。知っている奴に聞いてくれ!」

★リンゴ、、、「ツアーをやめたくなかったやつはいなかったと思うよ。でも、ポールだけだったら、ジョージやボクよりは続けていただろうね。ツアーでは自分がひどいミュージシャンになった気がして、こんなプレイを続けるのは嫌だって思った。まともにプレイできないのなら、もうツアーに出たくないって思ったんだ。」

★ジョージ・マーティン、、、「そのときには私たちは地位を確立していたので、リスクを冒す余裕があった。だから実験することができたが、それはアルバムの中でたった1曲だった。だから、もしみんながこの曲を気に入らなければ「残念だ」で済むことだ。それは実験だった。でも私たちはそれをやる価値のあることだと思ったんだ。」

★ジョージ・マーティン、、、「ボーイズの音楽的なクリエイティビティは弱まる兆しがなかった。成功したことによって、これまでは臆してやらなかったようなこともやってみる自信がついたのだろう。」

★ジョージ・マーティン、、、「このアルバムを聴くと、彼らがアメリカのレコードをたくさん聴いていて、そのようなサウンドが出せるかどうか考えていたことがわかると思う。彼らはいつも急進的なことをやろうと持ち掛けてきた。このアルバムではミキシングの時に高域をイコライザーで持ち上げ、ホーンはさらに超高域にしてほしい。低域はすべてカットしたいと言っていた。そんなにイコライジングしてもいいものかとエンジニアがよく首をかしげていたものだよ。イコライザーを全域にかけ、それでもまだ足りなければそこにさらにイコライザーをかけた。そうするととてつもなく奇妙なサウンドになった。ボーイズはそれを気に入ってね、そして明らかに見事な効果をあげた。」

★ジェフ・エメリック、、、「(ビートルズのチーフ・エンジニア就任を打診され)とにかく怖くて、頭の中で「どちらにしようかな?」というのをやったら「YES」で止まってしまった。でも、もちろんそう聞かれて光栄だった。」

★ニール・アスピノール、、、「レコーディングを進めていくうちに、彼らはスタジオで作ったサウンドをステージで再現できないことに気づいた。技術的に不可能だってね。それに、演技をしたり大声で歌ったりすることにうんざりしていた。かといっていい加減にやっていたわけじゃない。ベルト・コンベアーみたいに次から次へとこなしていくだけだからやる気を無くしていたんだ。」

★NME誌、、、「新しいサウンドとアイデアを持っていることは確かだが、これまでと同じくらい、あるいはそれよりもいい作品なのかどうか、ファンの間で大きな論争を引き起こすことだろう。ひとつだけ確かなことはYellow Submarineを聴けば誰もが一緒に歌いだすだろう。オリエンタル・サウンドのLove You Toはジョージがアニル・バクアットと共にシタールの奇妙な音を響かせ、カーマ・スートラ風の歌詞を歌う。Tomorrow Never Knowsでは、ジョンの声で「心を無にして、くつろいで流れに身をまかせなさい」と教えてくれる。だが、カモメの鳴き声に聞こえる、この宇宙的、エレクトリックなノイズを聴きながら、どうやってくつろげというのだ?ジョンの声は奇妙に揺れ、遠くから響いてくる。リンゴのドラムスだけが変わらずナチュラルである。」

★メロディ・メーカー誌、、、「ポールは正しい。確かに誰もこのアルバムをコピーできないだろう。だが、それがどうしたというのだ?ほんの一握りの14曲だが、まごうことなきビートルズ・ソングだ。ほとんどがジョン、ポール、ジョージの曲だが、Yellow Submarineだけはリンゴが歌っている。ビートルズの頭にはポップス界全体から集めたアイデアがざわめいている。彼らはどんな気まぐれもレコード化できてしまうという、観念的自由を楽しんでいる。我々がこれまでポップと呼んでいたものをはっきりと打ち砕いた輝かしいアルバムだ。」

【編集盤】

「Yesterday And Today」(アメリカ、キャピトル・レコード編集盤)

【発売日】

★1966年6月20日

【チャート状況】

★全米チャート5週連続1位

【収録曲】

(1) Drive My Car ドライヴ・マイ・カー

(2) I'm Only Sleeping アイム・オンリー・スリーピング

(3) Nowhere man ひとりぼっちのあいつ

(4) Doctor Robert ドクター・ロバート

(5) Yesterday イエスタディ

(6) Act Naturally アクト・ナチュラリー

(7) And Your Bird Can Sing アンド・ユア・バード・キャン・シング

(8) If I Needed Someone 恋をするなら

(9) We Can Work It Out 恋を抱きしめよう

(10) What Goes On 消えた恋

(11) Day Tripper デイ・トリッパー

【ジャケット】

★「あのダサいジャケットのやつ」と米国盤をボロカスにけなしていたジョージ。ひとつの意趣返しとも言える「ブッチャー・カバー」で対抗して、「過激すぎる」との理由で回収騒ぎも起きて「してやったり」の状況を作り出したものの、差し替え用の新たな写真を提供することとなった。

★新たな写真はメンバーがトランクに腰を掛けたり後ろに立ったりしている。これを「ブッチャー・カバー」に対して「トランク・カバー」と呼ばれている。ちなみにこの写真は左右が逆のいわゆる「裏焼き」になっていて、これもビートルズ側の故意ではないかと言われている。

【エピソード】

★アメリカ・キャピトル・レコードから「ニュー・アルバムの制作にあたって曲が足らないので至急送れ」との要請に応える形で、イギリス・パーロフォン・レコードは「I'm Only Sleeping」「Doctor Robert」「And Your Bird Can Sing」の3曲を提供した。市場規模の大きなアメリカでの売り上げは英国よりはるかに上回り、要請には応じるようにしていた。このために提供された3曲は本国イギリスのファンよりもアメリカのファンのほうが先に聴くことができた。

★曲順を変えたり、シングル曲を混ぜたり、イギリスではアルバム1枚あたり14曲が収録されていたにもかかわらず、米国では11曲で収録されなかった曲を次のアルバムに廻して、「水増し」のようなアルバムを数多く発売して利益を上げようとした。そのようなキャピトル・レコードのやり方を当初は黙認していたビートルズ。しかし、アルバムをトータル作品として考えるようになったことと、「ファンに余分なお金を使わせたくない」ということで原則シングル曲をアルバムに収録しないというポリシーを無視されたりして、4人全員が腹を立てていた。

【コメント】

★ジョージ、、、「ボクらは「Yesterday And Today」なんて名前のアルバムを作った覚えはないぜ。」

「Revolver」(アメリカ、キャピトル・レコード編集盤)

【発売日】

★1966年8月5日

【チャート状況】

★全米チャート6週連続1位

【収録曲】

(1) Taxman タックスマン

(2) Eleanor Rigby エリナー・リグビー

(3) Love You To ラヴ・ユー・トゥ

(4) Here,There And Everywhere ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア

(5) Yellow Submarine イエロー・サブマリン

(6) She Said She Said シー・セッド・シー・セッド

(7) Good Day Sunshine グッド・デイ・サンシャイン

(8) For No One フォー・ノー・ワン

(9) I Want To Tell You アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー

(10) Got To Get You Into My Life ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ

(11) Tomorrow Never Knows トゥモロウ・ネヴァー・ノウズ

【エピソード】

「I'm Only Sleeping」「Doctor Robert」「And Your Bird Can Sing」の3曲を先行して発売されたアルバム「Yesterday And Today」に収録してしまったために、本国の同アルバムより3曲少なく、さらにジョンの作品が2曲だけになってしまっている。

inserted by FC2 system