戻る

【レコーディング日】

【発売日】英国1965年12月3日、米国1965年12月6日、日本1966年3月15日

【チャート状況】英国8週連続1位、その後42週間にわたりチャートに留まった。予約の段階ですでに50万枚を売り上げる。 米国ビルボード及びキャッシュボックス誌ともに1位 日本 オリコン10位

【収録曲】

(1) Drive My Car ドライヴ・マイ・カー

(2) Norwegian Wood (This Bird Has Flown) ノーウエジアン・ウッド (ノルウェイの森)

(3) You Won't See Me ユー・ウォント・シー・ミー

(4) Nowhere Man ひとりぼっちのあいつ

(5) Think For Yourself 嘘つき女

(6) The Word 愛のことば

(7) Michelle ミッシェル

(8) What Goes On 消えた恋

(9) Girl ガール

(10) I'm Looking Through You 君はいずこへ

(11) In My Life イン・マイ・ライフ

(12) Wait ウェイト

(13) If I Needed Someone 恋をするなら

(14) Run For Your Life 浮気娘

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア】ノーマン・スミス

【使用楽器】

〈ジョン・レノン〉

★フェンダー・ストラトキャスター、ギブソンJ-160E、エピフォン・カジノ、タンバリン、エレクトリック・ピアノ

〈ポール・マッカートニー〉

★リッケンバッカー4001S、エピフォン・カジノ(?)、ピアノ

〈ジョージ・ハリスン〉

★フェンダー・ストラトキャスター、グレッチ・カントリー・ジェントルマン、リッケンバッカー360/12、フラマス・フーテナニー5/024 12strings,、ブズーキ(ギリシャの民族楽器)、シタール、クラッシュ・シンバル

〈リンゴ・スター〉

★ラディック・スーパー・クラシック、カウベル、マラカス

【レコーディング】

★ネクタイ着用は必須で、ビートルズ初期のころはなんとエンジニアは白衣着用という、いかにもイギリス的というか官僚的だった当時のEMIは、レコーディング時間がきっちり決まっていた。午前10時から午後1時までは午前のレコーディング、ランチ休憩をはさみ午後のレコーディングは午後2時30分から5時30分まで。残業が必要な場合は午後7時から10時までと厳格に定められていた。アルバム「Beatles For Sale」のレコーディングから午前の時間を使わなくなっていたビートルズは、この頃になるとスタジオで練習をしながら曲を構築しレコーディングをする方法を始めていたので、レコーディング時間が深夜まで及ぶようになり、EMIのスタッフからは不評を買うようになった。

★ビートルズのデビュー時から長らくレコーディング・エンジニアを担当していたノーマン・スミスは、本アルバムを最後にビートルズのレコーディング・スタッフから外れた。念願だったプロデュース業を始めることになったノーマンが、引き続きビートルズのエンジニアを続けたい旨ジョージ・マーティンに申し出たが、ジョージ・マーティンは掛け持ちを許さなかった。

★ノーマン・スミスのコメント、、、「Help!とRubber Soulの間に何かがあった。ボーイズ達、特にジョンとポールの人間関係がとんでもなく変わってしまった。」

【アルバム・タイトル】

★ポール、、、「アルバムのタイトルは、年配のブルース・マンがミック・ジャガーに言った言葉がきっかけなんだ。「ミック・ジャガーさんよ、音楽は悪くないが、それじゃまるで、プラスティック・ソウルだな。」って言ったらしい。プラスティックからラバーを思いついたんだ。」

★ポール、、、「このアルバムのタイトルは「おい、このアルバムはソウルがあるぞ。たくさんのソウルがあるぞ。この音楽にはたくさんのソウルがある。」みたいな風に感じて、それを茶化したものなんだ。面白いと思えた。とてもボクららしくて、奇抜だろ?」

【ジャケット写真】

★撮影場所 ウェイブリッジにあるジョンの自宅周辺

★撮影日 1965年

★カメラマン ロバート・フリーマン

★ポールのコメント、、、「アルバム・ジャケットも以前とはちょっと違うものにした。歪んだ写真を使ったんだ。何でもありの冒険のひとつだったんだよ。写真はジョンの自宅で撮影したものだ。ボクらは今までとは違うポロネックを着ていた。すました顔をしてね。ロンドンに戻り、撮影したカメラマンのロバート・フリーマンが写真のスライドを見せてくれた。ジャケットにしたときの感じが分かるように、LPサイズの厚紙の上にスライドを映写してね。そんなとき、たまたま厚紙がたわんで、写真が歪んだんだ。ボクらは「これだ!これだよ!これこそラバー・ソーーーーウルだ!」って思った。それで、あのジャケットになったんだ。」

★ジョージのコメント、、、「顔をぬっと伸ばしたジャケット写真。ボクはすごく気に入ったよ。純真、素朴なイメージを捨てたかったから、これはマリファナ常習者のボクらが作った最初のアルバムだしね。

★表ジャケットにグループ名が記載されていないという斬新な試みがなされた。

【エピソード】

★アルバム「Help !」をリリース後、全米ツアーも終わって9月にイギリスへ帰国した時点で、年内にアルバムとシングルそれぞれ1枚づつリリースしなくてはならない契約で、残された期間はわずかに4ヶ月。しかし、ジョンとポールにはほとんど曲のストックがなかったため、全米ツアーからの帰路、飛行機の中ですでに新曲のことについて話し合っていた。

★オリジナル曲のストックが無くなったことは、かなり深刻な事態を招き、レコーディングが一時中断されるほど切羽詰っていた。ジョージ・マーティンはひとこと「全曲オリジナルでいきたいのなら歌を作りなさい」とシンプルなアドバイスをした。

★アルバム製作期間が1ヵ月以上にわたり100時間を超えるという、当時としては異例の長さになり次回作以降さらに増えていくことになるが、世界の他のミュージシャンにも影響を与え「ビートルズがやっているから」という理由から、そうするバンドや歌手が増えた。

★「You Won't See Me」で、1音を「ピー」と鳴らし続けるだけのオルガンをプレイ(?)したローディのマル・エヴァンズをジョークで「マル・オルガン・エヴァンズ」とジャケットにクレジットしている。

【コメント】

★ジョン、、、「俺たちはテクニック的にも音楽的にも進歩していた。それだけのことさ。Rubber Soulでついに俺たちはスタジオで実権を得た。駆け出しの頃、俺たちは与えられたことをやるしかなかった。どうやってもっと低音を得たらいいのか分からなかったりね。俺たちはRubber Soulでテクニックを学んだ。アルバム作りについて、より緻密になっていたし、まあ、それだけのことだ。俺たちはアルバム・ジャケットから何から、実権を得たってこと。」

★ニール・アスピノール、、、「レコーディングを進めていくうちに、彼らはスタジオで作ったサウンドをステージで再現できないことに気付いた。技術的に不可能だってね。それに、演技をしたり大声で歌ったりすることにウンザリしていた。かといっていい加減にやっていたわけではない。ベルトコンベアーのように次から次へとこなしていくだけだから、やる気をなくしたんだ。」

★ジョージ、、、「ボクはRubber SoulとRevolberは、part1とpart2のように思えるんだ。」

★ジョージ、、、「ボクらはより洗練された。前と同じように見えたかもしれないけど、さらに洗練されていたんだ。いいアルバムを作っているということは当時でも確信していたよ。」

★リンゴ、、、「当時はいろんな変化があった。ボクらの考え方が変わり、生活そのものも変わった。Rubber Soulはある意味崩壊への第一歩だった。ボクらはいろんなことに挑戦したし、スタジオでは楽しかった。完成したレコードも素晴らしかった。でも時が経つにつれ、スタジオにいる時間すら負担になり始めたんだ。」

★リンゴ、、、「ジョージ・マーティンは優れたプロデューサーだったね。最初の頃はリハーサルの助手みたいに、レコーディングの準備が出来るとスタジオにやって来て録音ボタンを押すだけだった。そのうちに、ずっとスタジオにいるようになったんだ。ボクらは延々と演奏を続けて、最高の出来だって思うと「ジョージ、今のテープに録ってた?」って確認する。ボクらがジョージ・マーティンにテープを廻し続けるという手法を教え込んだのさ。本番と決めたときだけ録音ボタンを押すということは無くなったんだ。ボクらはスタジオにいる間、ずーっとテープを廻していた。だから良いテイクが録れたんだよ。」

★リンゴ、、、「ボクの好きなアルバムはRubber Soulとホワイト・アルバムだね。バンドらしい時期だったからね。バンドでいるということは、ボクがいつも大好きなことだったからね。(2010年)」

★ポール、、、「ボクらは昔からのどのアルバムとも違うサウンドにしたかった。マージー・ビートに囚われたくなかったんだ。」

★ポール、、、「(ニュー・アルバムについて聞かれ)今のところアイデアは何も無い。どこを探しても空っぽだよ。」

★ポール、、、「ボクらビートルズは大成功していた。ボクとジョンの作曲はどんどん良くなっていたしね。だからLove Me Doのような最初のシングルから自分たちがどんどん成長しているということは分かっていた。作曲も演奏も上達していることは分かっていたんだ。レコードそしてライヴ演奏から成長を感じることが出来た。だからボクらには何かがあると分かっていた。上達しているという意識もあった。考えてみれば、それがビートルズの最も素晴らしいところだ。ボクらは決して一ヶ所に留まらなかった。最初のアルバムはああいった感じで、2枚目のアルバムはまったく違っていて、だからRubber Soulの頃になると、ボクらはすごくなっていた。(2015年)」

★ジョージ・マーティン、、、「Rubber Soulのころ、ビートルズはすでに新しい音楽を見出していたんだ。初期の曲は、アメリカのリズム&ブルース影響が大きかった。いわゆるビートルズ・サウンドが生まれたのは、リヴァプールが港町だったことに起因していると思うよ。私たちよりずっと早くアメリカの音楽を聞くことができたわけだからね。彼らはモータウンやブラック。ミュージックについて誰よりも詳しかった。多大な影響を受けているはずだ。その後、年月が経つとともに彼らのサウンドに違う音楽の影響が見え始めた。クラシックとかモダン・ミュージックとか。それは1965年ころからだね。」

★ジョージ・マーティン、、、「その後の進む道を指し示しているアルバム。私にとって好きなアルバムのひとつだ。最高のアルバムだと思う。」

★ジョージ・マーティン、、、「ボーイズの音楽的クリエイティビティは弱まる兆しが無かった。成功したことによって、これまでは臆してやらなかったようなこともやってみせる自信がついたのだろう。」

★ジョージ・マーティン、、、「4人は一風変わった音や新しい楽器に興味を示した。「この音はどう使えると思う?」と聞いてきたんだ。」

★ジョージ・マーティン、、、「スタジオはいつも賑やかだった。みんなレコーディングを心から楽しんでいたよ。ふざけたり、笑いこけたり、特にヴォーカルをオーバー・ダブするときは大変だった。ジョンがおかしなことばかりするからね。他のメンバーもそうだったけど。とにかく覚えているのは、すごく楽しかったってことだよ。」

★ブライアン・ウィルソン、、、「私はロサンゼルスの自宅で、ある夜Rubber Soulを聴いてぶっ飛んでしまった。信じられなかった。あのサウンドには強い感銘を受けた。シタールを聴いてぶっ飛んだよ。そして私はこう言った。Rubber Soulと同じかそれ以上のアルバムを作らなければならない。もし私が人生で何かしようものなら、このような良いアルバムを作ることだと。そして私はそれを実行した。」

★ブライアン・ウィルソン、、、「Pet Soundsは良いアルバムですが、ベストではありません。ビートルズのRubber Soulは今でも不朽のベスト・アルバムだと思います。自分自身の音楽についてSmileは私の最も野心的なアルバムだと思います。それに私はThat Lucky Old Sunも、ものすごく誇りに思っています。(2011年)」

★レコード・ミラー誌、、、「演奏者としても作曲者としても、一定の流れのように巧妙なメロディを作り出していることに、まず驚嘆と驚異を覚える。一貫したペースで曲を作り続けているのは素晴らしいことだ。おそらく、多様性という意味では彼らのベスト・アルバムだろう。楽曲的には冗談のようなものではあるが。」

★メロディ・メーカー誌、、、「ビートルズの新しい14曲入りのアルバムは、一町聴したところ、彼らのベストな作品ではない。この有名な4人の新作も、これまでのアルバムと比べたら多分それほどの喝采は受けられまい。1曲か2曲は数ヶ月は話題になるだろうが、どうもレノン=マッカートニーらしい名作がいっぱいというわけではないようだ。疑いもなくビートルズ・サウンドは成熟してきてはいるが、残念ながら勢いは弱まっているようにも思える。

★NME誌、、、「このLPの素晴らしいところは、ビートルズが今も違ったやり方で我々リスナーを楽しませてくれていることだ。レコーディングの芸術性と、サウンドに対するグループの冒険心を感じさせる傑作だ。」

【編集盤】

「Rubber Soul」(アメリカ、キャピトル・レコード編集盤)

【発売日】

★1965年12月31日

【チャート状況】

★6週連続1位、チャート内には合計51週留まった。

【収録曲】

(1) I've Just Seen A Face 夢の人

(2) Norwegian Wood (This Bird Has Flown) ノーウエジアン・ウッド (ノルウェイの森)

(3) You Won't See Me ユー・ウォント・シー・ミー

(4) Think For Yourself 嘘つき女

(5) The Word 愛のことば

(6) Michelle ミッシェル

(7) It's Only Love イッツ・オンリー・ラヴ

(8) Girl ガール

(9) I'm Looking Through You 君はいずこへ

(10) In My Life イン・マイ・ライフ

(11) Wait ウェイト

(12) Run For Your Life 浮気娘

★アメリカ・デビューからことごとくジャケット、タイトル、収録曲に至るまで、英国盤オリジナルを踏襲してこなかったアメリカ盤であるが、このアルバムでようやくタイトルとジャケット写真がオリジナルと同じになった。ただしジャケット写真についてはアルバム・タイトルのカラーが変更されている。

★ビートルズ・サイドから「せめてジャケット写真とアルバム・タイトルはオリジナルを使ってほしい」という強い要望があったとされる。

★「I'm Looking Through You」はイントロを2回間違えた部分をカットせず、そのまま収録。「The Word」はミックスが異なり、エンディングも数秒長く収録されている。

inserted by FC2 system