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【レコーディング日】1963年7月18日~10月23日

【発売日】

英国 1963年11月22日(ファースト・プレス、モノラル盤、ステレオ盤)、1970年代はステレオ盤のみプレス、1981年にモノラル盤限定プレス、1980年代後半以降はモノラル盤のみプレス。米国 1982年9月 日本 1966年5月30日(ファーストプレス)9月10日(セカンドプレス)イギリス統一ジャケット盤1976年6月5日 オリジナル・モノ・アルバム1982年1月21日

【チャート状況】

★NME、メロディ・メーカー誌ともに初登場1位。それぞれ21週、22週連続1位を記録。アルバムにもかかわらず、NME誌のシングルチャートにも登場して11位となり、シングルチャートにおけるアルバムの最高順位を記録した。

★イギリスではそれまでの最高予約枚数を記録していたエルヴィス・プレスリーの「Blue Hawaii」の20万枚を突破し、30万枚に塗り替えた。発売から1週間で50万枚を突破1965年9月には100万枚を超え、イギリスのミュージシャンによる史上初のミリオンセラーを記録した。

【収録曲】

(1) It Won't Be Long イット・ウォント・ビー・ロング

(2) All I've Got To Do オール・アイヴ・ゴット・トゥ・ドゥ

(3) All My Loving オール・マイ・ラヴィング

(4) Don't Bother Me ドント・バザー・ミー

(5) Little Child リトル・チャイルド

(6) Till There Was You ティル・ゼア・ウォズ・ユー

(7) Please Mister Postman プリーズ・ミスター・ポストマン

(8) Roll Over Beethoven ロール・オーヴァー・ベートーベン

(9) Hold Me Tight ホールド・ミー・タイト

(10) You Really Got A Hold On Me ユー・リアリー・ゴット・ア・ホールド・オン・ミー

(11) I Wanna Be Your Man アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン

(12) Devil In Her Heart デヴィル・イン・ハー・ハート

(13) Not A Second Time ナット・ア・セカンド・タイム

(14) Money (That's What I Want) マネー

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア】ノーマン・スミス、リチャード・ランガム

【使用楽器】

〈ジョン・レノン〉

ギブソンJ-160E,リッケンバッカー325、ホーナー・ブルースハープ,タンバリン

〈ポール・マッカートニー〉

ヘフナー500-1、クラベス、ピアノ

〈ジョージ・ハリスン〉

ギブソンJ-160E、グレッチ・カントリー・ジェントルマン、ホセ・ラミレス・エステューディオ

〈リンゴ・スター〉

ラディック・ダウンビート、アラビアン・ボンゴ、ボンゴ、マラカス

【レコーディング】

★アルバムの曲順を決めたのはジョージ・マーティンである。

★「One After 909」がレコーディングされたがボツになっている。

【ジャケット写真】

★撮影場所、、、ボーンマスのパレス・コート・ホテル 

★撮影日、、、1963年8月22日正午(フォト・セッションは1時間で終了) 

★カメラマン、、、ロバート・フリーマン 

★ロバートは正方形のアルバムに4人の顔がバランスよく収まるように、リンゴを右下に配置した。リンゴ右下にした理由は「リンゴが最も背が低かった」「リンゴが最後にグループに加入した」との2つに理由である。

★リンゴだけスツールにひざまづく状態で撮影したため、撮影中リンゴは大変だったという。

★リンゴ以外のメンバーの写っている順番が違っているものや、4人が微笑んでいるボツになったヴァージョンもあり、現存している。

★4人が着ている黒色のタートルネックは自前のもの。

★音楽界に衝撃と多大な影響を与えたアルバム・ジャケットだが、撮影したロバートは写真の出来に不満足だったようで、「プリントが思ったよりずっと暗くなってしまって、もう一度焼くとさらに細かい質感が失われてしまった。最終的に採用された写真は石炭置き場に四つの白い顔が浮かんでいるようだった。」と自らの腕前を批判している。

★ロバート・フリーマンがジャケット写真を撮影したいきさつは、ジョンのアパートの階下に住んでいたのが、アートスクールを出たばかりの青年ロバートだった。友人が撮影したビートルズの写真に興味を持ったロバートがブライアン・エプスタインに連絡をとった。以上の二つの説がある。

★ジョージ、、、「このアルバムのジャケットは60年代で最も模倣されたデザインのひとつだ。ボクらはアストリッドとユルゲンがハンブルグで撮った写真をカメラマンのロバートに見せて「こういうのをやってくれないか」と言ったんだ。このジャケットからボクらはアルバムのアートワークに積極的に関わるようになった。Please Please Meのジャケットは最悪だけど、そのときは気にならなかったんだ。レコードを出せるだけで嬉しかったんだと思う。ボクらが「さあ、アーティストになろう」と考えるようになったのはWith The Beatlesからだ。」

★ポール(後年のコメント)、、、「ボブ(ロバート)の写真はボクたち固有のフィーリングを一番よく伝えていると感じていた。」

★当時はジャケットには目立たせる意味合いもあってカラー写真を使うのは常識であったが、モノクロ写真をしかも売り出し中のバンドが使用するのは異例なことであった。さらに写真に写る4人が「笑っていない」ことも衝撃だった。当然EMI幹部やブライアン・エプスタインは「過激」という理由から大反対だったそうだが、ジョージ・マーティンの説得でEMI側が折れて「笑っていないモノクロ写真」がジャケットに採用された。

【エピソード】

★「ファンに余計なお金は使わせないよう、既発のシングル曲はアルバムに入れない。」というジョージ・マーティンとブライアン・エプスタインとの取り決めがあり、このアルバムと前後して発売された「From Me To You」「She Loves You」「I Want To Hold Your Hand」は収録されていない。

★ファースト・アルバム「Please Please Me」のレコーディングが終わって間もなくポールから提案があった。それまでの業界におけるアルバムのあり方は「ヒット曲が生まれると、そのシングルのAB両面の曲に加えて、急遽アルバムを埋めるその他の曲をレコーディングして、アルバムの体裁をとる。そしてなるべく早くヒットの余韻があるうちにリリースする。アルバム・タイトルはたいていがヒット曲と同名。」にポールは待ったをかけた。ヒット曲2曲程度に寄せ集めの新録でアルバムを作らない。ステージ同様にテーマを持たせ、収録曲は新曲のみ、と主張し、1963年春にスタッフとミーティングを重ね、見直しが図られた。

 

【コメント】

★ポール、、、「ライヴで演っている曲をレコーディングしたけど、まだ持ち曲はたくさんあったからね。」

★ジョージ、、、「Please Mr. Postmanとかカバーが多いよね。」

★リンゴ、、、「カバー曲はみんながそれぞれ好きな曲を持ち寄ったんだ。面白いのは、ボクがビートルズに入ったばかりの頃で、まだボクは他のメンバーのことをよく知らなかった。でもレコードのコレクションはみんな似ていたんだ。そういうのがバンドとしての絆を深めるのに役に立ったね。」

★ジョージ・マーティン、、、「ファースト・アルバムはリヴァプールでのライヴを再現しようとしたものだが、With The Beatlesは彼らの最初のソング・ブックと言えるものだろう。」

★ジョージ・マーティン、、、「この頃のビートルズは大抵レコーディングの順番通りにリハーサルをやっていた。彼らが私の前でひととおり曲を通すと、「OK,次は何?」という感じだった。まさにワーク・ショップのようだった。」

★ジョージ・マーティン、、、「このアルバムは単に曲の寄せ集めではなく、バンドの集大成だ。だからカヴァー曲も入れた。」

★NME誌、、、「このアルバムのハイライトはAll My Lovingだ。ジョンとポールによるこのオリジナル曲は、すぐに覚えられるメロディとミディアムなテンポ。前作でリンゴが歌ったBoysが大成功だったのでまたリンゴに歌って欲しいという要望があった。そこでジョンとポールが彼のために書いてくれたのがI Wanna Be Your Manだ。Boysよりも上等なリズムを叩き出している。彼は第一級のドラム・ヴォーカルになれる素質を示した。この驚嘆すべきアルバムがチャック・ベリーのRoll Over Beethoven抜きで成り立たないのは言うまでもないだろう。徹底したロックン・ロールでジョージがヴォーカルをとる数少ない曲のひとつだ。一人二重唱で歌い手拍子がエキサイティングな雰囲気を作り出している。まだイギリスにビートルズ嫌いがいたとして、このアルバムを聴いた後でもそのままでいられるだろうか?きっとノック・アウトだろう。」

★メロディ・メーカー誌、、、「快活なAll My Lovingから哀愁を帯びたTill there Was Youまで、忘れられない粒ぞろいの曲が並ぶ。テンポもバラエティ豊かで素晴らしいアルバムだ。その新鮮なスタイルはビートルズを間違いなくビート・グループのトップに押し上げるだろう。」

★ディスク誌、、、「期待通りの卓越したビートルズの作品集。打ち付けるような激しいビートと伸びやかなヴォーカル、びゅんびゅんかき鳴らすギターは、時にフィーリングを変え、極端なコントラストを見せる。またポールのソロ・バラードTill There Was Youは最高だ。」

【編集盤】

「Meet The Beatles」

【発売日】

★1964年1月20日

【チャート状況】

★ビルボード誌11週連続1位 売り上げ世界記録を樹立

【収録曲】

(1) I Want To Hold Your Hand

(2) I Saw Her Standing There

(3) This Boy

(4) It Won't Be Long

(5) All I've Got To Do

(6) All My Loving

(7) Don't Bother Me

(8) Little Child

(9) Till There Was You

(10) Hold Me Tight

(11) I Wanna Be Your Man

(12) Not A Second Time

★米キャピトル・レコードがリリースした、アメリカでのデビュー・アルバム。

★アメリカでは「Please Please Me」の発売権をヴィー・ジェイ・レコードが持っていたために、アメリカでのデビュー・アルバムはシングル曲とアルバム「With The Beatles」からの選曲となった。

★当時アメリカではアルバム収録曲数は「12曲まで」が定番となっていた。そのためアメリカ盤「Revolver」までオリジナルよりも少ない収録曲で、さらには「余った曲」で別のアルバムを作ったりと商魂逞しかった。

★マスタリング作業が行われて、アセテート盤が作られた時点でバンド名は「BEATTLES」と間違って表記されていた。

「The Beatles Second Album」

【発売日】

★1964年4月10日

【チャート状況】

★ビルボード誌5週連続1位 発売直後に売り上げ100万枚突破

【収録曲】

(1) Roll Over Beethoven

(2) Thank You Girl

(3) You Really Got A Hold On Me

(4) Devil In Her Heart

(5) Money

(6) You Can't Do That

(7) Long Tall Sally

(8) I Call Your Name

(9) Please Mister Postman

(10) I'll Get You

(11) She Loves You

★アルバム「With The Beatles」収録曲にシングル曲とEP盤収録曲を加えて発売。

「ビートルズ!」

★日本でのデビューアルバムとなった「ビートルズ!」ジャケット写真は「With The Beatles」と同じものであるが、デザインはアメリカでのデビューアルバム「Meet The Beatles」が元になっている。日本独自の選曲で、「Please Please Me」から6曲、「With The Beatles」から5曲、シングル曲が3曲となっている。

★1964年4月15日に発売され、日本のチャートで初登場5位、6月には1位を獲得している。

「ビートルズNo.2!」

★日本でのデビュー・アルバム発売から、たったの2ヶ月あまりで2枚目のアルバムを早くもリリース。1964年6月5日に「ビートルズ・セカンド・アルバム」が発売された。

★ジャケット写真は、ほぼアメリカ盤「ビートルズ・セカンド・アルバム」と同じ。収録曲は異なり、「Please Please Me」から4曲、「With The Beatles」から6曲、シングル曲が2曲となっている。

★日本では洋楽チャートに12位で初登場。8月に1位となり、4位まで下っていたファースト・アルバム「ビートルズ!」が2位に再浮上し、1,2位独占となった。

「ステレオ!これがビートルズvol.2」

【発売日】

★1966年5月30

【チャート状況】

【収録曲】

(1) All My Loving オール・マイ・ラヴィング

(2) Please Mister Postman プリーズ・ミスター・ポストマン

(3) Don't Bother Me ドント・バザー・ミー

(4) It Won't Be Long イット・ウォント・ビー・ロング

(5) All I've Got To Do オール・アイヴ・ゴット・トゥ・ドゥ

(6) Little Child リトル・チャイルド

(7) Till There Was You ティル・ゼア・ウォズ・ユー

(8) Roll Over Beethoven ロール・オーヴァー・ベートーベン

(9) Money (That's What I Want) マネー

(10) I Wanna Be Your Man アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン

(11) Hold Me Tight ホールド・ミー・タイト

(12) Devil In Her Heart デヴィル・イン・ハー・ハート

(13) Not A Second Time ナット・ア・セカンド・タイム

(14) You Really Got A Hold On Me ユー・リアリー・ゴット・ア・ホールド・オン・ミー

【エピソード】

★イギリス・オリジナル盤と同じ収録曲にもかかわらず、ほとんどの曲順を入れ替えた理由は、当時の日本のレコード会社には「その国のリスナーの好みに合わせるのが当然」「オリジナルと全く同じ構成や曲順でリリースするのは、日本盤を手掛けるディレクターの怠慢。安直で工夫がない。」という考えがあったため。

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