【撮影日】
★トランク・カバー、、、1966年3月23日(推定)
★ブッチャー・カバー、、、1966年3月25日
【撮影場所】
★トランク・カバー、、、ブライアン・エプスタインのオフィス
★ブッチャー・カバー、、、フォト・スタジオ(詳細不明)
【カメラマン】
★ボブ・ウィタカー
【いきさつ】
★1966年6月にリリースされたアメリカ編集盤「Yesterday And Today」のジャケット写真は、食肉処理業者(ブッチャー)が着ている白衣をまとったビートルズの肩やひざの上に生肉と首と胴体がバラバラになった赤ちゃんの人形を乗せた不気味でグロテスクなものであった。
★抗議が殺到することとなった「ブッチャー・カバー」と呼ばれるレコード盤。キャピトルは発売を中止してアルバムを回収し、ふたの開いたトランクの周りメンバーが座ったり佇んだりしている写真に差し替えて再発売した(トランク・カバー)。
★「Yesterday And Today」用にブライアン・エプスタインがキャピトルに「トランク・カバー」の写真を送り、キャピトルがこれをもとにジャケットのデザインをするが、ラフ・デザインを見たビートルズ側がデザインを拒否し、「ブッチャー・カバー」の写真を使うように要求した。
★このときに回収から漏れてしまった少数のブッチャーカバー盤が、コレクターズ・アイテムとして高額で取引されるようになった。
【こぼれ話】
★アメリカではアルバム収録曲が11曲を超えるとアーティスト側に支払う印税が高くなるために、曲数を減らして独自の編集盤を作っていた。アルバムのコンセプトが無視されるアメリカのやり方に抗議の意味があったとされる見方がある。
★一般にブッチャー・カバーをキャピトルに拒否されたので、トランクカバーを撮影したと言われているが、実際はトランク・カバーのほうが先に撮影されている。
★ブッチャーカバーに使われた写真は、シングル「Paperback Writer」の広告として使われたり、「ディスク・アンド・ミュージック・エコー」誌の表紙にもなったりしたが、イギリスではまったく問題にはならなかった。
★最終的に「トランクカバー」に変更が決定する前は「トランクカバー」も含めて数種類のデザインが存在した。
★カナダ印刷の「ブッチャーカバー」も存在していて、こちらはカナダのキャピトル・レコードに勤めていたポール・ホワイト氏が所蔵するステレオとモノが確認されているもののみ各1枚が現存するという超貴重盤。
★ポール・ホワイト氏のコメント、、、「最初に印刷されたジャケットを常に保存していた。色を比べたり印刷ミスがないかを調べるためにね。ブッチャーに関してはモノを2枚、ステレオを1枚資料用として手元に置いていたんだ。ジャケットが変更になるという通達があって、モノを1枚オフィスの誰かにプレゼントした。私の手元にはモノとステレオそれぞれ1枚づつ残っているんだ。」
★カナダ印刷のブッチャーカバーはリンゴの左腕のすぐ横に「LITHO IN CANADA」のクレジットが入っている。