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【Drive My Car】

作詞・作曲者ジョン・レノン、ポール・マッカートニー(実質はポールの作品)

【ジョン・レノン】ヴォーカル、タンバリン

【ポール・マッカートニー】ヴォーカル、リッケンバッカー4001S、ピアノ、エピフォン・カジノ(?)

【ジョージ・ハリスン】バッキング・ヴォーカル、フェンダー・ストラトキャスター

【リンゴ・スター】ラディック・スーパー・クラシック、カウベル

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア、アシスタント】

【収録日】

★1965年10月13日

【レコーディング詳細】

★レコーディング・セッションは午後7時に始まり12時半に終了した。ビートルズのレコーディングが初めて深夜を過ぎた。

★4テイクでレコーディングを終了させている。

★ボトル・ネックを使ったギター・ソロはジョージではなくポールが弾いている。

★サビの直前「Maybe I love you」の部分を強調するために、ジョンはそこだけヴォーカルをさらにオーバー・ダビングしている。

【エピソード】

★主にポールのペンによる作品であるが、作詞面ではジョン、ギター・アレンジでジョージが貢献している。

★サビの「Baby you can drive me car」の部分は最初は「You can buy me diamond rings」であった。ポールは「歌詞は悲惨だった」「ジョンとボクが最も不毛なセッションに近いものを経験した曲のひとつ。」と回想しており、ジョンの力を借りて「Baby you can drive me car」に差し替えられた。

★歌詞の主人公の女性が男性に「私がスターになったら私の車を運転させてあげてもいいわよ」という高飛車な内容だが、実は車を持っていないというオチになっていて、ポールは「ジョーク・ソングだ」とコメントしている。

★コーラスの「Beep beep」は車のクラクションを擬音化したものである。

【コメント】

★ジョージ、、、「ポールが書いた曲は、たいていは彼が「こうしてくれ」と指示してくるんだけど、この曲はボクがオーティス・レディングの「Respect」のようなリフを弾いて、ポールが同じラインをベースで弾いたんだ。」

【Norwegian Wood(This Bird Has Flown) 邦題・ノルウェイの森】

作詞・作曲者ジョン・レノン、ポール・マッカートニー(実質はジョンの曲)

【ジョン・レノン】ヴォーカル、ギブソンJ-160E、タンバリン

【ポール・マッカートニー】バッキング・ヴォーカル、リッケンバッカー4001S、クラップス、(膝を叩く)

【ジョージ・ハリスン】フラマス・フーテナニー5/024 12strings,、シタール、クラッシュ・シンバル

【リンゴ・スター】ラディック・スーパー・クラシック

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア、アシスタント】

【収録日】1965年10月12日

【レコーディング詳細】

★テイク2ではイントロが長めに録音されている。

★フルでドラムがリズムを刻むロックっぽいアレンジもされたが、テイク3で、イントロも含めてアコースティック・ギターでスタートする構成が確定する。

【エピソード】

★1965年1月26日、ジョンとシンシア、そしてジョージ・マーティンとフィアンセのジュディはスイスのサンモリッツへ休暇旅行に出かけていた。スキーをしていたジョージ・マーティンが骨折をしてしまい病院のベッドで寝ていたときに、ジョンが作ったばかりのこの曲を弾き語りで聴かせた。

★一般にロックやポップスの世界に始めてシタールが導入された曲とされているが、厳密に言うとビートルズがレコーディングにシタールを導入する半年前にヤードバーズが「Heart Full Of Soul」でシタールを導入している。ただ、ジェフ・ベックが自分のギターと差し替えているのでシタール・バージョンは発売されなかった。また1965年7月にキンクスがシングル「See My Friends」にタンブーラ(シタール説もあり)を導入してリリースしている。

★村上春樹のコメント、、、「ジョージ・ハリスンのマネジメントをしているオフィスに勤めているあるアメリカ人女性から「本人に聞いた話」として教えてもらった話によると、最初のタイトルは「Knowing She Would(彼女がさせてくれるのは知っている)だったという。」

★ちなみに村上春樹氏の話に出てくる女性とは、ジョンの幼馴染のピート・ショットンによると、イブニング・スタンダード紙の記者モーリーン・クリーブのことじゃないかとのコメントがある。

★1970年のインタビューでジョンは「ミドルエイトはポールが書いた」とコメントしているが、後の80年には「完全に俺ひとりで書いた」とコメントしている。

★ポールは「ジョンはプレイボーイ誌のインタビューで、この曲がどこから生まれたのか見当がつかないと言ったけど、ボクには分かる。」と発言。ポールによると当初歌詞は最初の一節しかなく、曲名もなかったと証言している。浮気に関する曲だということはポールも認めている。

★ポールによると、ジョンの曲を元に2人で仕上げていった。またタイトルについてはポールの彼女ジェーンの兄ピーターが部屋に木のデコレーションを施していることにインスパイアされ、それは安物の松(pine)だったが「チープ・パイン」だと語呂が悪いので「Norwegian Wood」に変更したのだという。

★さらにポールによると、風呂で彼を寝させた女に復讐するために、「Norwegian Wood」を燃やすというオチを入れたとのこと。

【コメント】

★ジョン、、、「この曲を散々やってどれもうまくいかなくて、俺は怒り始めた。すると「君のやりたいようにやれよ」と彼らが言うので、俺は「こういう風にやりたいんだ」と説明した。彼らが見放したので、俺はマイクに向かってギターを大音量で弾きながら歌った。ジョージがシタールを持っていたから俺は彼に「dee diddley dee diddley dee」というようなメロディを弾いてみてくれないかと頼んだんだ。あまりシタールを弾いたことがないので弾けるか分からないけれどと言い、彼らしくそれを試してくれた。ジョージはパートを覚えて後でそれをオーバー・ダビングしたんだと思う。」

★ジョン、、、「これは俺の体験なんだ。家に外で何をしているか妻にバレちゃいけないと思い、歌詞を書くときにはものすごく慎重でパラノイドになっていた。女の子とどうにかなるってことはよくあることだったから、情事のことを書くときには、できるだけ曖昧にしたんだ。と言っても、この曲の女性に関してはまるで覚えていないんだ。」

★ジョージ、、、「この曲に取り掛かっているとき、何かが必要だった。ボクはただシタールを手にとって何となく音を見つけ、何となく弾いた。それがちょうどよかったようだ。」

★ジョージ・マーティン、、、「彼らは変わったサウンドに対する関心をどんどん増していった。私に対していつも「今度はどんなアイデアがあるんだい」と言っていた。」

【You Won't See Me】

作詞・作曲者ジョン・レノン、ポール・マッカートニー(実質はポールの作品)

【ジョン・レノン】バッキング・ヴォーカル、タンバリン

【ポール・マッカートニー】ヴォーカル、リッケンバッカー4001S、ピアノ

【ジョージ・ハリスン】バッキング・ヴォーカル、フェンダー・ストラトキャスター

【リンゴ・スター】ラディック・スーパー・クラシック

【マル・エヴァンズ】オルガン

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア、アシスタント】

【収録日】1965年11月11日

【レコーディング詳細】

★レコーディングの締切日になっていて、この日はかなりスタジオ内は焦りと緊張感にあふれ、レコーディング時間は他の曲のものも含め13時間ぶっ通しで行なわれた。

★そのためにポールはジョージとともにオーバーダビングを駆使し、ジョージのコーラスは所々枯れていて、またポールのピアノもミスタッチがかなりあるが、修正されずそのまま使用されている。

★ジョンはコーラスで参加するも「Knew what i was, Knew what i was」の部分しか歌っていない。

【エピソード】

★レコーディング・スケジュールの締め切りギリギリになってポールがスタジオに持ってきた。

★2009年発売のゲームソフト「The Beatles Rock Band」ではエンディングがフェイドアウトしない完全バージョンが公開された。

【コメント】

★ポール、、、「ボクにとってこれは非常にモータウン。フレーバーあふれる曲だ。ジェームズ・ジェマーソン的なフィーリングを持っている。彼はモータウンのベーシストで素晴らしかった。メロディックなベースラインを弾いていた人だ。当時メロディックなベースラインを弾いていたのは彼とボクとブライアン・ウィルソンで、全員完全に違う角度から弾いていたからね。ロサンゼルス、デトロイト、ロンドンと活動の場所も違うけど、全員お互いの仕事の影響を受けていた。」

【Norwhere Man (邦題 ひとりぼっちのあいつ)】

作詞・作曲者ジョン・レノン、ポール・マッカートニー(実質はジョンの作品)

【ジョン・レノン】ヴォーカル、ギブソンJ-160E、フェンダー・ストラトキャスター

【ポール・マッカートニー】バッキング・ヴォーカル、リッケンバッカー4001S

【ジョージ・ハリスン】バッキング・ヴォーカル、フェンダー・ストラトキャスター

【リンゴ・スター】ラディック・スーパー・クラシック

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア、アシスタント】

【収録日】1965年10月21,22日

【レコーディング詳細】

★ジョン、ポール、ジョージの3人のコーラスは、同じパートを2回重ねてレコーディングされており、都合6人分の分厚く絶妙なコーラスとなっている。

★ジョージの高音を目一杯効かせたギターソロは、ポールが嫌がるエンジニアを説き伏せて思いっきり高音のつまみを上げさせた超トレブリー・サウンド。そうやって出来た音をポールはまだ不十分だとし、さらにミキサーを通して高音を上げた。ポールは「ボクらはスタッフがやりたくないことばかりやらせていた」と述懐している。

★この印象的なギター・ソロはジョンとジョージがまったく同じメロディ・ラインを弾いたユニゾン」になっている。

【エピソード】

【コメント】

★ジョン、、、「じっと座ってひたすら曲を考え続けた。何も浮かばず行き場もなくただ座っている自分はいったい何者なんだと思い始めた。すると何かがパッとひらめいたんだ。でも俺はそれ以上何も考えないことにした。頭が空っぽになり気が滅入ってきて寝そべりたくなった。ああ、もうお手上げだってあきらめたんだ。そのとき思ったんだ。俺はひとりぼっちだって。どこにもない世界にいる行き場のない男なんだって。」

★ジョン、、、「締め切り間際になって、5時間くらい悩んだ。知的な歌詞を書きたくてずっと頭をひねり、もう限界だと思ったとたん歌詞とメロディがひらめいた。In My Lifeのときと同じだ。」

★ジェフ・リン、、、「(トレブリーなギターサウンドについて)ものすごい高音と高いミドルの周波数がたくさん鳴っている。ガラスが割れるほどさ!」

★ポール、、、「He's a real norwhere manっていうのはジョンのことだったらしい。実際は彼の結婚生活の状態についてなんじゃないかな。ボクもいくつか歌詞を加えたけど、ジョンがほとんど完成させていたよ。ボクが追加した歌詞はfor nobodyだよ。」

★ポール、、、「初期の曲のほとんどは一緒に書いたけど、その後Eleanor Rigbyはボクがほとんど書き、ジョンが独力でNorwhere Manを書いた。その理由は単にボクらが別に暮らすようになったからだ。物理的な理由さ。初期の頃ボクらはホテルの部屋で一緒に生活し、一緒に曲を書く機会がたくさんあった。でもボクたちは別々に曲を書いても、いつもレコーディング前に相手に聞かせていたよ。」

【Think For Yourself (邦題・嘘つき女)】

作詞・作曲者ジョージ・ハリスン

【ジョン・レノン】バッキング・ヴォーカル、ギブソンJ-160E、エレクトリック・ピアノ

【ポール・マッカートニー】バッキング・ヴォーカル、リッケンバッカー4001S、タンバリン

【ジョージ・ハリスン】ヴォーカル、フェンダー・ストラトキャスター

【リンゴ・スター】ラディック・スーパー・クラシック、マラカス

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア、アシスタント】

【収録日】1965年11月8日

【レコーディング詳細】

★ジョンはジョージの指示通りにコーラス・パートを覚えられずに、相当煮詰まってしまった。「俺は時々自分のことを役立たずだと思う」と愚痴を言い、ポールが「もういいよ、気にするな」となだめているテープが残っている。

【エピソード】

★レコーディングがスタートした時点では「Won't Be There With You」というタイトルだった。

★ファンクラブ会員向けクリスマス・レコードの収録が迫っていたため、この曲のコーラスの打ち合わせの様子が録音テープ廻しっぱなしの状態で録音された。何か面白い会話が録れたらクリスマス・レコードに使用する意図であった。

★この会話の録音テープには「Beatle Speech」と名づけられ、後に映画「Yellow Submarine」等に使用された。

★ジョージの発言にもあるように、1963年にフィル・スペクターがプロデュースしたボブ・B・ソックス&ブルージーンズのレコーディング中にミキサー卓でベースの音がオーバーロードして歪んだ音をスペクターが面白がって採用したものが先だが、ポールの場合はギターに使うファズ・ボックスをあえてベースに使ったという点で、今でこそ普通にになったベースのディストーション・サウンドのさきがけと言える。

【コメント】

★ジョージ、、、「ポールはファズ・ボックスをかましてベースを弾いている。元はといえばフィル・スペクターがZip-A-Dee-Doo-Dahのレコーディング中に発見したサウンドなんだ。」

★ジョージ、、、「誰かについて書かれたっぽいけど、これだけの時間が経っているので誰にインスパイアされたのか思い出せない。たぶん政府だろうね。(1980年)」

 【The Word 邦題 愛のことば】

作詞・作曲者ジョン・レノン、ポール・マッカートニー(実質はジョンの作品)

【ジョン・レノン】バッキング・ヴォーカル、フェンダー・ストラトキャスター

【ポール・マッカートニー】バッキング・ヴォーカル、リッケンバッカー4001S、ピアノ

【ジョージ・ハリスン】バッキング・ヴォーカル、フェンダー・ストラトキャスター

【リンゴ・スター】ラディック・スーパー・クラシック、マラカス

【ジョージ・マーティン】ハーモニウム

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア、アシスタント】

【収録日】1965年11月10日

【レコーディング詳細】

★3テイクで完成したと記録されている。

【エピソード】

【コメント】

★ジョン、、、「答えはLoveだって分かった時は、目の前が突然開けた気がしたね。この曲で初めてLoveを表現したんだ。いつでもどこにでもある言葉、それはLoveだってね。これこそが宇宙の根底にあるテーマだって思ったんだ。Loveに値しないものなんて世の中には存在しないのさ。愛すること、愛されること、愛を表現することに一生懸命になることは素晴らしいことじゃないか。」

【Michelle】

作詞・作曲者ジョン・レノン、ポール・マッカートニー(実質はポールの作品)

【ジョン・レノン】バッキング・ヴォーカル

【ポール・マッカートニー】ヴォーカル、リッケンバッカー4001S、エピフォン・テキサン

【ジョージ・ハリスン】バッキング・ヴォーカル、エピフォン・カジノ

【リンゴ・スター】ラディック・スーパー・クラシック

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア、アシスタント】

【収録日】1965年11月3日

【レコーディング詳細】

【エピソード】

★ポールが10代の頃に作り始めていた曲。

★1963年の半ば頃とされる録音テープに自宅かホテルの部屋なのかは不明であるが、Aメロの部分を弾いている音源が存在している。

★同じコードの中でベースが半音づつ下がっていく進行方法を「クリシェ」と呼ぶが、ポールはこの理論についての知識はまったく無く、独学で偶然発見した。

★「I love you i love you i love you」の部分は当初はハミングだったという。しかしニーナ・シモンの曲にインスパイアされたジョンが変えた。(これについてのコメントは下記参照)

★無名時代にジョンの美術学校の講師オースティン・ミッチェルが開いたパーティで初めて演奏された。長年ポールの中ではジョーク・ソング扱いだったが、アルバム「Rubber Soul」製作にあたってジョンの勧めもあってレコーディングされることになった。

【コメント】

★ポール、、、「パーティか何かのときに歌っていたフランス語のジョーク・ソングだった。その後、こう言われたんだ。「なかなかいい曲だよな。いくつか歌詞をまともにすればいけるぜ」ってね。」

★ポール、、、「ヘッシーズ(リヴァプールにある楽器店)にジム・グレッティという男がいたんだ。ボクたちみんなジムと一緒に過ごした。彼は兄貴分的な存在でね、彼はジャズ・ギタリストでビッグなFバレーのコードをボクたちに弾いて見せてくれた。ボクらにとってそれはモンスター・コードだったけれど、ボクらはそれを覚えた。それはまるで「うわっ!」って感じで、だからボクはそのコードをMichelleに使った。」

★ポール、、、「チェット・アトキンスのようなフィンガー・スタイルで曲を書いてみようとした。」

★ポール、、、「Michelleは実はエディット・ピアフのイギリスで大ヒットしたMilordに影響を受けている。ボクの仲のいい友人の妻がフランス語の先生だったので、ボクは彼女に「Michelleに韻を踏みたいんだけど」と相談したら、彼女は「belleは?」と言い、残りのフランス語の歌詞を手伝ってくれた。」

★ジョン、、、「俺たちはどこかに宿泊していた。ポールがやってきて最初の数小節を歌詞と一緒に口ずさんだんだ。そして「ここからどこに行けばいい」と言った。俺はニーナ・シモンを聴いていた。I Rot A Spell On Youだったと思う。そこに「I love you i love you」という歌詞があった。それが俺にMichelleのミドル・エイトを思いつかせた。「I love you i love you i l-o-ve you」ってやつをね。」

★ジョン、、、「ポールの曲に対する俺の貢献はいつも、少しブルージーなエッジを加えるというものだった。それがなければMichelleはストレートなバラードになる。そうだろう?奴は軽快さと楽観を与え、俺はいつも悲しさ、不和、ブルージーな音を加えた。」

【What Goes On (邦題 消えた恋)】

作詞・作曲者ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、リンゴ・スター (実質はジョンの作品)

【ジョン・レノン】バッキング・ヴォーカル、エピフォン・カジノ

【ポール・マッカートニー】バッキング・ヴォーカル、リッケンバッカー4001S

【ジョージ・ハリスン】グレッチ・カントリー・ジェントルマン

【リンゴ・スター】ヴォーカル、ラディック・スーパー・クラシック、タンバリン

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア、アシスタント】

【収録日】1965年11月4日

【発売日】

★1966年2月21日にシングル「Nowhere Man」のB面として発売。

【チャート状況】

★全米チャート最高81位。

【レコーディング詳細】

★バッキング・トラックは1テイクでOKが出ており、その後、ヴォーカルのオーバー・ダビングを施した。

【エピソード】

★デビュー前にジョンが作っていた曲で、ポールがサビの部分を手伝い、リンゴが歌詞の一部を作った。そのため最初で最後の3人の名前がクレジットされた曲となった。

★「From Me Toy You / Thank You Girl」がレコーディングされた1963年3月5日にジョージ・マーティンに聞かせている。レコーディングの時間が余ったので「One After 909」「What Goes On」のレコーディングを頼んだが「One After 909」しかレコーディングできなかった。

【コメント】

★ジョン、、、「俺たちがビートルズになる以前のクオリーメンとかだった時代に書いた、初期レノンの曲だ。リンゴに曲をあげようと思って、ポールの力を借りてミドル・エイトを入れて復活させたんじゃなかったかな。俺は何かを無駄にするのは好きじゃないんでね。」

★リンゴ、、、「5つくらいの単語を提供しただけだ。他には何もしていないよ。」

★リンゴ、、、「他のメンバーのように曲が書けたらいいな、と以前は思っていた。それで努力してみたけど書けないんだ。歌詞は問題ないけど、曲を作って他のメンバーに聴かせると「ああ、あの曲に似ているね」と言い、彼らの指摘はもっともだと思ったよ。でも作曲家としての部分的なクレジットをもらったことがある。What Goes Onだよ。」

★ニール・アスピノール、、、「ポールがリンゴに曲を教えるためにマルチトラック・テープを作った。ポールのヴォーカル、ポールのギター、ポールのベース、ポールのドラムスで演奏されているんだ。リンゴはこの完成されたテープを聴いて、レコーディング・セッションに入る前に彼自身のアイデアを加えたんだ。」

 【Girl】

作詞・作曲者ジョン・レノン、ポール・マッカートニー(実質はジョンの作品)

【ジョン・レノン】ヴォーカル、ギブソンJ-160E

【ポール・マッカートニー】バッキング・ヴォーカル、リッケンバッカー4001S

【ジョージ・ハリスン】バッキング・ヴォーカル、ブズーキ(ギリシャの民族楽器)

【リンゴ・スター】ラディック・スーパー・クラシック

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア、アシスタント】

【収録日】1965年11月11日

【レコーディング詳細】

★締め切りギリギリの最終セッションでレコーディングされた。

★バック・トラックは2回の演奏でOKテイクを出している。

★ジョージの使用楽器についてはポールの証言からフラマスの12弦とされていたが、ジョージ自身がブズーキを弾いたと発言しているし、ジョージ・マーティンの同様の発言も残っている。

【エピソード】

★ポールの「Michelle」に対するアンサー・ソングと言われている。

★息継ぎの音をイコライジングして効果的なアクセントとしているが、これはジョンが偶然大きく息継ぎをしてしまい、このサウンドを気に入ったメンバーが曲の一部として取り込んだ。

★ポールとジョージのコーラスについてポールは「レコーディングではいつも何かしらふざけたことをやっていた。GirlのときにはTit(おっぱい)とバックで歌っていたんだけど、誰も気が付かなかった。」とコメントしている。ただ、英語のスラングで「ばか者」ともいうところから、こちらの意味だとする説、あるいは両方の意味を持たせているという説もある。

【コメント】

★ジョン、、、「現実的な歌だ。実際にモデルになった女性がいたわけじゃないけどね。歌詞は切実だ。この曲は歌というよりも、みんなが探し求めている女性について語ったものなんだ。」

★ジョン、、、「(歌詞について)ティン・パン・アレー気取りで書いた。初めて歌詞を曲に合わせようとした。When she told when she was young that pain would lead to pleasureという部分は自分でも哲学書から引用した文章みたいだなと思ったよ。キリスト教のことを言いたかったのさ。俺は子供の頃、教会に連れて行かれるのが嫌だったからね。俺が書いた2冊の本の中で、キリスト教についてかなり書いているよ。それが話題になったことはないけど読めばすぐ分かるよ。「天国に召されるには苦難を乗り越えねばならない」っていう教えに疑問を持っていたんだ。喜びは苦しみから生まれるっていうのはカトリック教の考え方だ。真実かもしれないが「教え」にはならない。俺は信じてなかったよ。何かを得るためには苦悩しなきゃならないなんてさ。苦悩するかしないかは状況次第さ。」

★ジョン、、、「これは気に入っている。ボクがやった中でもベストなもののひとつだと思う。」

★リンゴ、、、「ミステリアスなサウンドが美しい。」

【I'm Looking Through You 邦題 君はいずこへ】

作詞・作曲者ジョン・レノン、ポール・マッカートニー(実質はポールの作品)

【ジョン・レノン】バッキング・ヴォーカル、ギブソンJ-160E

【ポール・マッカートニー】ヴォーカル、リッケンバッカー4001S、ニー・クラッピング(自分の膝を叩いている)

【ジョージ・ハリスン】フェンダー・ストラトキャスター

【リンゴ・スター】ラディック・スーパー・クラシック、タンバリン【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア、アシスタント】

【収録日】1965年10月24日、11月10、11日

【バージョン違い】

★アメリカ盤のステレオ・バージョンにはイントロのミス(間違えて弾きなおしている)がそのまま収録されている。

【レコーディング詳細】

【エピソード】

【コメント】

★ポール、、、「ボクは長い間独身生活をしてきた。ボクは女性を特別に扱わなかった。決まった人と付き合っていたときでも、周りに女の子はたくさんいた。ボクの人生は常にゆるくノーマルとは言えなかった。身勝手なのは自覚していた。それが理由でケンカになることも何度かあった。あるとき、ジェーンはボクのもとを去って女優の仕事でブリストルに行ってしまった。分かった行けよ、別の人を見つけるさ、とボクは言った。彼女なしでいるのは辛かったよ。」

 

【In My Life】

作詞・作曲者ジョン・レノン、ポール・マッカートニー(実質はジョンの作品)

【ジョン・レノン】ヴォーカル、エピフォン・カジノ

【ポール・マッカートニー】バッキング・ヴォーカル、リッケンバッカー4001S

【ジョージ・ハリスン】バッキング・ヴォーカル、フェンダー・ストラトキャスター

【リンゴ・スター】ラディック・スーパー・クラシック、タンバリン

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【ジョージ・マーティン】ピアノ

【エンジニア、アシスタント】

【収録日】1965年10月18、22日

【レコーディング詳細】

★18日のレコーディングでは、間奏をどうするのか決めることが出来ずに持ち越しとなった。22日にジョージ・マーティンによるバロック調のピアノ・ソロがレコーディングされた。

★間奏はピアノ・ソロだがオルガン・ソロのヴァージョンもある。

【エピソード】

★ビートルズ解散後の1971年、ジョンは自分の代表曲として「I'm A Loser」「Help !」「Strawberry Fields Forever」と並んで、この曲を挙げている。

★ジョンは当初、自分の生家からダウンタウンまでのバス旅行を描こうとしていて、ペニー・レーンなどの地名も登場する予定だった。

★ジョンは歌詞を書いてからメロディを付けたと語っている。

【コメント】

★ジョン、、、「メンローブ・アヴェニュー251番地の家からバス通学をしていた頃を思い出してみたんだ。思い出したすべての光景を書き出して、いくつもの詩を書いた。昔の友人や愛すべき人たちの思い出。この曲はそこから生まれたんだ。ポールは歌のサビを手伝ってくれた。音楽的にね。」

★ジョン、、、「(ピアノ・ソロについて)思い通りのエリザベスI世の時代みたいなピアノ・ソロを入れることが出来たのもジョージ・マーティンのおかげなんだ。俺たちは「バッハみたいに弾いて欲しい」とか「12小節の中で」と頼んだだけなんだ。」

★ジョン、、、「俺が真面目に作った最初の作品のひとつだ。それまでの曲は、口先だけの浅はかなものばかりだったから、俺は作家の自分と作詞家の自分を分けていたんだ。俺とポールは「I Love You」とか「You Love Me」とかの歌詞をやみくもに作っていた。センスのいい歌詞を書こうとはしていたけど、真剣に悩んだことなんてなかったよ。」

★ジョン、、、「この曲は俺が初めて自分の人生について書いた曲なんだ。なんでその気になったのかというと、「イン・ヒズ・オウン・ライト」を出版したとき、イギリスのジャーナリストからこう言われたんだ。「あなたはどうして本を書くような姿勢で歌詞を作らないの?子供時代のことを歌詞にしてみたらどう?」ってね。」

★ポール、、、「ジョンとボクの記憶が合致しなかった唯一の曲。スタジオの踊り場にあったメロトロンでメロディを作った。メロディは全部自分が書いた記憶がある。(スタジオはロンドンのIBCスタジオだと言われている)」

★ポール、、、「ボクらの故郷リヴァプールについての曲も書きたいと昔から思っているんだ。ペニー・レインとかそういう地名も入れてね。」

★ジョージ・マーティン、、、「ジョンが間奏をどうすればいいか決めかねていたので、彼らが休憩に出かけた際に、バロック調のピアノを録音しておいた。旋律がちょっと複雑だったんで、私はテンポを半分に落として弾き、倍速にして再生した。ジョンはとても気に入ってくれたよ。」

★ジョージ・マーティン、、、「ジョンらしさが出ていて、私の大好きな曲だ。シンプルな曲だが手が込んでいる。」

【Wait】

作詞・作曲者ジョン・レノン、ポール・マッカートニー (実質はポールの曲?)

【ジョン・レノン】ヴォーカル、リッケンバッカー325

【ポール・マッカートニー】ヴォーカル、ヘフナー500/1、マラカス(?)

【ジョージ・ハリスン】フェンダー・ストラトキャスター

【リンゴ・スター】ラディック・スーパー・クラシック、タンバリン(?)

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア、アシスタント】

【収録日】1965年6月17日、11月11日

【レコーディング詳細】

★急遽、引っ張り出してきたとはいえヴォーカルも収録してあってほぼ完成した状態であったため、ヴォーカルのオーバー・ダビングとジョージのボリューム奏法のギターが追加された。

【エピソード】

★元々アルバム「Help !」のためにレコーディングされていたが、最終的に収録から外されて保留という形になっていた。

★アルバムは14曲収録が原則になっていて、レコーディング最終日1965年11月11日になって1曲足らないことから、急遽引っ張り出されてきた。

★映画「Help !」撮影のため訪れていたバハマで書かれた曲。

【コメント】

★ポール、、、「記憶違いかもしれないけど、ジョンはほとんど協力していない。」

【If I Needed Someone (邦題・恋をするなら)】

作詞・作曲者ジョージ・ハリスン

【ジョン・レノン】バッキング・ヴォーカル、フェンダー・ストラトキャスター

【ポール・マッカートニー】バッキング・ヴォーカル、リッケンバッカー4001S

【ジョージ・ハリスン】ヴォーカル、リッケンバッカー360/12

【リンゴ・スター】ラディック・スーパー・クラシック、タンバリン

【ジョージ・マーティン】ハーモニウム

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア、アシスタント】

【収録日】1965年10月16・18日

【レコーディング詳細】

★16日にはベーシック・トラックを1テイクレコーディングして、18日にはヴォーカルやタンバリン等をレコーディングしている。

【エピソード】

★バーズのデビューアルバム「ミスター・タンブリン・マン」収録の「Bells Of Rhymney」に衝撃を受けたジョージが直後にあっという間に書き上げレコーディングまで終えてしまった。両者は非常によく似ている。

★バーズの「Bells Of Rhymney」の他「She Don't Care About Time」にも影響されたとジョージは公言し、バーズのメンバーにも直接そのことを伝えている。ビートルズの大ファンでジョージの影響を受け12弦ギターをバンドに取り入れていたバーズは大いに感動した。

★アメリカ・ツアー中にプレゼントされた新しいリッケンバッカー360/12を使ってレコーディングされた。

★ジョージとともにポールもベースにカポタストを装着している。ポール、、、「作曲するときなどによくカポを使うよ。何もかもが少し高く、ヒリヒリした感じになり、それが曲に反映されるのがいいんだ。」

★同じパーロフォン・レーベルのバンド「ホリーズ」がカバーし、アルバム「Rubber Soul」と同日リリースとなり、全英20位まで上昇したがジョージはかなり辛口のコメントを残している。ジョージ、、、「ひどい。ボクの曲を台無しにされた。ホリーズは音楽的にはいいけど、レコードの作り方が駄目だ。まるで今まで会ったことのない者同士が初めてスタジオでセッションしているように聴こえる。」

【コメント】

★ジョージ、、、「この曲はDコードで書いた他のたくさんの曲に似ている。指を動かせば様々なメロディを得ることが出来るよ。ああいうギター・フレーズとか、様々なバリエーションは数多くの曲で聞くことが出来る。いろんな人が今でも同じ音を使って、新しい配列を見つけていることにボクは驚かされる。」

【Run For Your Life (邦題 浮気娘)】

作詞・作曲者ジョン・レノン、ポール・マッカートニー(実質はジョンの作品)

【ジョン・レノン】ヴォーカル、ギブソンJ-160E

【ポール・マッカートニー】バッキング・ヴォーカル、リッケンバッカー4001S

【ジョージ・ハリスン】バッキング・ヴォーカル、フェンダー・ストラトキャスター

【リンゴ・スター】ラディック・スーパー・クラシック、タンバリン

【プロデューサー】ジョージ・マーティン

【エンジニア、アシスタント】

【収録日】1965年10月12日

【レコーディング詳細】

【エピソード】

★アルバム「Rubber Soul」のレコーディングで最初に出来上がった曲。

★ギター・ソロはジョンによるものという説がある。

【コメント】

★ジョン、、、「まったく好きになれない曲だね。たぶんエルヴィスのBaby Let's Play Houseがヒントになったんだと思うよ。「他の男といるよりは、死んだ姿を見るほうがマシさ」っていう歌詞があって、そこから書き始めたんだ。ジョージはこの曲が大好きだったけどね。」

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